2回目のデート(つづき1)

人がどこからともなく湧いてきてあちらこちら動き回る、という感じの通りをあなたと並んで歩くのは、どうしてもあなたについていくという具合になるので主導権はあなただ。まだ文化村のシアター開演には時間があるので近くのコーヒーショップに入る。あなたが朝食は食べたかと訊いたのが聞き取れなくて「チョーショクハタベマシタカ」と繰り返すことになった。雑然とした渋谷にまだ慣れないので、あなたの声が小さくいくぶん弱々しく聞こえるのだった。今日は木曜日であなたのバイオリズムが低調となる日だったらしい。

文化村のエントランスに到着して、ぼくたちはほぼ3か月ぶりで同じ通路を通り早速エレベータに乗ると二人のおばさまと同乗した。やはり平日「文化的な」映画を観るなんてことは、そういう人たちに限られる。開場してほぼ真ん中の席に座り上映前のワクワクするしばらくの時間を数十人の観客と共有する。横であなたが足元に置いたカバンの中を探しているのをそれとなく見ていると、突然手が伸びてきてぼくの口に何かを入れた。上映中に咳が出ないようにとのど飴を入れたのだが、ぼくは最も自然な感じて受け止めようとしてそうした。